波止釣りのターゲット
彼岸も過ぎ地上は春の気配が漂う季節だが、海の中は真冬の水温。海の中の季節は地上より１～２ヶ月遅れてるといわれている。
そんな低い水温の中、春一番の釣り物といえば、“まん丸目玉”のメバルだ！ 波止の捨石やテトラ周り沈み根や藻場を住みかとし日中はそこに潜んでるが、朝夕のまづめになると活動する。メバル釣りといえば半夜釣り。朝まづめを狙うにしても日の出までの短時間の勝負だろう。 3月からスタートしたメバル釣り、５月を過ぎてもまだ楽しめ、初夏までつれ続けるところもある。
メバルと同じく人気の釣りがサヨリ釣りだ。夏のエンピツサヨリと呼ばれる小型のヤツらがひと冬を越し成長して楽しませてくれるのが早春。群れで動く魚だからタイミングよく出会えて足止めさすことが出来れば楽しい釣りのひとつだろう。
この時期からの楽しみの釣りといえばチヌ釣りだ。春のエビ撒き釣りから始まって、水温も上がり梅雨を過ぎると落とし込み釣りやダンゴ釣りの季節に突入する。いぶし銀の魚体に魅せられるチヌ師たちの季節の到来だ。
ほかにも忘れてはならないのがキス釣りだろう。竿先や手元に伝わる独特の引きと薄く透き通るようなピンク色のシロギスに魅了される人も多いだろう。５月頃から釣れ始めて秋まで続くこのキス釣りは波止の投げ釣りの代表格だろう。
春も過ぎて本格的な夏を迎える頃、波止の釣り場も賑やかになってくる。初夏の釣りといえばスズキの夜釣りだ。春と秋のスズキのエビ撒き釣りもいいが、この時期のスズキは春からエサをたくさん食べて引きも強く釣ってのも面白いし食べても美味しい。
それともうひとつ、夏の夜の風物詩ともいえるタチウオ釣りがある。海のギャングとも言われる獰猛なタチウオ。夏になると釣り仲間の間でもタチウオの接岸の話題で盛り上がる。夕暮れから波止に上がり日が落ちる頃には波止の上に並ぶのはタチウオ狙いの釣り人たちでいっぱいだ。
また、夏の終わりから秋口にかけては、小アジや小サバのサビキ釣りが絶好の季節。ファミリーフィッシングで波止の賑わいも最高潮になる。ファミリーフィッシングに小細工などいらない。アミエビをカゴに詰めて放り込むだけで美味しい晩飯のおかずが釣れてくる。
暑い夏も峠を過ぎると美味しい秋がやってくる。この時期の釣り物としては“彼岸ハゼ”、そうハゼ釣りだ。上げ潮に乗ってやってくるハゼを海辺では子供や大人が待っている。小アジや小サバのサビキ釣りと並ぶファミリーフィッシングの代表格だ！玉ウキを使えば“ポコポコ”とかわいいアタリで楽しませてくれる。
秋も深まってくるとエサ取り名人と呼ばれるカワハギ釣りの登場だ。ホバリングと呼ばれるカワハギ独特の泳ぎ方でその場に留まり小さな口でエサに噛り付く。分かってはいるのだがハリになかなか掛かってくれない。エサだけ取られて“さようなら”で、それが腹立たしく悔しく、仕返しとばかりにカワハギと対峙する釣り人も多いだろう。“たかが釣り”だが、そんなエサ取り名人カワハギを釣り上げた時は誇らしくも感じる。
秋も終わり冬に入ると水温は下がり魚の活性は落ちて釣りはシーズンオフと言われてくる。人間も寒さに負けて波止に出かける足取りも悪くなるだろう。秋のファミリーフィッシングの賑わいの無くなった冬の波止でも釣り人はいる。狙うは根魚と呼ばれるガシラやメバルだ。穴釣りと呼ばれる探り釣りでテトラや石積み周りを短竿と片手にエサ箱の軽装で探りまわると根魚の御三家が出迎えてくれる。オモリを底まで落としていくとブルブルと気持ちのよいアタリが短い竿から伝わってくる。 また、アイナメ釣りもカレイ釣りも冬の人気の釣りだろう。
これら冬の魚たち、味は格別に美味しく“釣ってヨシ”“食べてヨシ”で寒い釣り場から帰ってきてからの夕食も楽しみのひとつだろう。
他にも冬の釣りといえば、エビ撒き釣りがある。チヌやメバルを狙ったエビ撒き師がエビ箱に腰を下ろして波止のところどころに陣取ってるだろう。
冬の時期、水温が下がり魚たちは水温の下がりの少ない深場へと落ちていく。そんな中でも湾内に残ってエサを食べ続ける“居着き”と呼ばれる魚たちもいる。こういった魚は体格も立派だ。深場へ落ちずに居るといっても魚は適温より下がるとそう簡単にはエサに食いつかなくない。そんな状況下でもなんとか口を使わして大物を釣ろうとするのがエビ撒き釣りだ。エサのシラサエビやブツエビがピンピンと魚を刺激し、それに刺激された魚たちが食いついてくると言う冬にこそ威力を発揮する釣り方がエビ撒き釣りだ。冷たい風の吹く波止で、防寒服に身を固めてでも釣竿を持たないと気がすまない真冬の釣師たちの世界がそこにある。またこの時期は、釣れれば大物だと気合も違う。
そんな厳しい冬も、また春の気配がやってきて春の魚の話題が釣り人の間で囁かれだす。一年を通して釣り人を飽きさせない波止の釣り。
そんな波止釣りを楽しみませんか？