魚を取り込む玉網(タモ入れ)

魚が掛かったらどうする?

どうするって…あとは釣り上げるしかないのだが、波止のウキ釣り…カツオの一本釣りのようには引っこ抜けない。そりゃそうだ!引っこ抜けるよう釣具を使ってるはずもない。

ガシラやメバルならいいけど、チヌやグレならそう簡単には抜けない。

そんな時のために魚をすくう網が玉網(タモ)というものだ!


玉網(タモ)の選び方

玉網

海釣り入門には玉網タモ)を買う出費は結構大きいだろう。値段が云々より釣ることに直接関係ない道具だから、竿(ロッド)やリールならちょっと奮発したりも出来るが、いざ玉網(タモ)となると釣れる前から買う気持ちにはなれないのは当然だろう。玉網(タモ)が無くても釣りは出来る。

実際に釣りに行っても玉網を濡らさず帰ってくることも多々あるし、釣れても玉網を持つのが邪魔くさくてそのまま抜き上げる事だってある。

しかし、この玉網というやつ、自動車の保険と同じで必要なときに持っていないと困るのも事実。最初は網と枠と柄の安物の磯玉セットでもいいから買っておきたい。少し短くなるだろうが3,000~4,000円程度で購入できるだろう。

ただ、玉網(タモ)はいい物を持ってたほうがいいようなことがよく言われている。
次に買うときは奮発してはどうだろうか?


玉枠のサイズと素材

玉枠の大きさだが、40cm~45cmが扱いやすくていいと思う。50cmや60~70cmなんてのもあるが40cmあれば十分入るし、魚の頭から玉網に入れるわけだから年無しチヌ(50cm)の頭のサイズが40cmもあるはずがない。

50cm枠になると扱いにくい。小さなテトラ帯などで大きさが邪魔になることもある。玉網に欲しい性能のひとつに“軽さ”があるから小さいほうが軽くなっていいだろう。

枠の素材は、ステンレス製アルミ製チタン製木製とある。チタンが最高らしいが価格も最高!軽くて強くて錆びないときたもんだ!チタンの枠を買ったら、いい玉ノ柄にセットしないとかっこ悪いし、私なら“枠より柄”ということで枠はステンレス製を選ぶだろう。

また、枠は折りたたみ(四つ折り)と折りたためないワンピースがあるが、長持ちするのはワンピース、折りたたみはメンテナンスを怠ればジョイント部が固着して動かなくなる。でも収納を考えればワンピースは邪魔だから折りたたみ(四つ折り)を購入する人がほとんだろう。釣りから帰ってきたらCRCでも吹いてたらいい。


網の素材はいろいろとあるんだろう。
正直、気にして見たことがない。

水切れのよさとか網目が二段になっててウキもすくえるとか…。
バリバリの硬い網じゃなければいいと思う。


玉ノ柄

問題はこの“玉ノ柄”だ!たかが“すくい網の持つところ”と思われるだろうが、下手なロッドより十分高い!

玉ノ柄に求める性能は、“軽いこと”、“一発で振り出せること”、“スムーズに縮められること”。

とにかくこの玉ノ柄というやつ、いざという時に出てこない時もある。

魚を引き付けて浮かして諦めさせたら玉網を“スッー”っと落とすのだが、落ちていかない。全く落ちないなら、再度、力を込めて振りだすことも出来るのだが、途中で止まったときが厄介だ!振るにも重くて振れないし、戻そうとしても片手じゃどうにもならない。

そんな経験をすればせめてスムーズに落ちてくれる玉ノ柄が欲しくなる。

網と枠は消耗品だが、柄は定期的に分解メンテナンスをしていれば買い換えることなんてないし、いい物には流行り廃りもない。

長さは5mが使い勝手がいいのではないだろうか?
釣行先の高さにも関係するが、一番良く行く場所での高さに合わせればいいだろう。短・中・長と3本持てればいいが予算がない。安物を3本持つなら5m1本のほうがいい。

収納時の柄の長さ(仕舞い寸法)は、120cm程度・70cm程度・50cm程度と大体がこのパターン。

50cm程度の超小継は、落とし込みのような動き回る釣りの時に腰ベルトにさしたりして使うのに便利なサイズ。70cm程度の柄は小継と呼ばれ超小継が出る前はコレが短いほうだったんだろう。120cm程度が普通サイズ。110cmもあるし130cmもある。

さて、どれがいいか?

落とし込み専用なら間違いなく超小継を選択するだろうが、テトラでウキ釣りとかだったら50cm程度じゃ小さすぎてテトラの上に置けない。バランスを崩せばそのまま隙間から落ちてしまう。70cm程度も背中に担ぐのならいいがウキ釣りには不向き。

残るは普通の長い玉ノ柄。

この長さだとテトラの上においても安心だし、磯竿と同じ程度の長さだからロッドケースじゃなくロッドベルトで縛ってのお気軽釣行でもロッドと一緒に縛れる。仮に落とし込みの時でも背中に担げばいい。

結局のところ、オーソドックスなモノが一番幅広く使える物なのです。


玉網(タモ)の使い方

玉網(タモ)の使い方だが、虫取り網のような使い方だけはして欲しくない。

ある日、連れと一緒に沖堤に行くことになって玉網を持ってないっていうから使わなくなったモノを1本くれてやったのよ。そのほうが離れてもいいし、互いに動けると思って…

もちろん、そいつは玉網なんて使ったこともないんだろう。

ウキがジワーッ…ジワーッ…ジワーッ…ズボッ!
「おーい、やっときたぞ!、大きいんじゃねえか?」

「えっ、ホントですか?すくいましょか?」

ダッダッダッ!!!!!!
カシャッ!カシャッ!カシャッ!

向こうからゴジラが走ってくる!
それも5mの玉網を伸ばしながらだ!

5mの玉網を水平に伸ばしたらどうなるか?肥桶担いだおっさんの天秤棒のようにしなってる。

本人には何もいえなかったが、正直その様なことは止めて欲しかった。


玉網(タモ)の使い方

玉網は魚を十分に引き寄せて弱らせた後に、魚の顔の前をめがけて滑らすように落としましょう。それまでは伸ばさずに収納状態を保っておく。

魚をロッドで引き寄せ空気を吸わす(厳密には海中からエラを出す)と元気はなくなるもの。チヌはグレと違いあっさりと諦めてしまうタイプだ。とにかく空気を吸わせて弱るまで、玉網を伸ばしてはいけない。玉網を一旦出してしまうと両手がふさがって、それ以降のラインの巻き取りも出来なくなるので、玉網を伸ばすのは本当の最後。十分に弱ったと判断できたら玉網を伸ばそう。特にサイズのいい魚は、体力もあるので弱ったと思っても注意が必要だ!

持ち方としては、柄と枠のジョイント(ねじ込み)部分を持って、枠が飛び出ないように親指で押さえて持つ。振りだす時は、網部分を下方に向けた後、親指を離せば自然と伸びて出て行きます。いい玉ノ柄はこの時の出かたがスムーズで一発で最後まで伸びてくれる。

決して波止の上では玉網を伸ばして走るものではありません。

魚を入れるのは頭から入れましょう。

この玉網の使い法。つい網で魚をすくいに行ってしまいがちですが、振り出した玉網に魚を誘導したほうが入りやすい。片手には5mもの長い棒。もう片方の手には玉網が必要とされるサイズの魚が引いてるロッド。

この状態で5mにも伸びた玉網で、それも片手で魚をすくおうなんて無理!
ロッドを持つ手と反対の手で持ってるわけだから利き腕でもない。

それなら利き腕に持ってるロッド操作で魚を玉網に入れたほうが早い。

玉網に顔が入ったらとにかく疲れてる腕だが、スッポリ入れて海中から切ること。水から出た魚はそれで終わり。あとはロッドを股にでも挟み出来ればこの時にリールのベールを起こしてフリーにしたい(レバーブレーキなら必要は無いが…)、そのあと両手でゆっくりと引き上げればいい。引き上げるとは振り出した柄を戻しながら引き上げること。ロッドを仕舞う時の動作と同じだ。そうすれば魚は上がってきて玉ノ柄も仕舞える。

決して物干し竿のように持ち上げないようにしよう。