チヌ(クロダイ)の落とし込み釣り

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落とし込み釣りとは波止でのチヌ(クロダイ)釣りの代表釣法。関東ではヘチ釣り、中京ではボタ釣りとも呼ばれ、サシエを堤防の際に自然に落下させていくことで捕食活動にやってきてる際のチヌを釣り上げる方法。

梅雨が過ぎ海水温も上がってくるとチヌは護岸(堤防など)にやってくる。護岸の際にはイガイカキなどが付着し、そこには海の小動物も住み着くようになる。それらはチヌの好物で夏の波止は格好のチヌの釣り場なのだ!

護岸形状は場所によって違い、一般的な垂直ケーソンをはじめ消波効果のあるスリットケーソンや内側に削れたオーバーハングと呼ばれるもの、また高低差もさまざまで、各地その地に合った落とし込み釣りが工夫されている。

イガイが付き始めると夏…夏のチヌは落とし込み竿とカニ桶をもって波止へ遊びに行こう!


仕掛け

チヌの落とし込み釣り
竿(ロッド)
落とし込み専用ロッド 3.6~4.2mズーム
リール
落とし込み専用リール
道糸(ライン)
ナイロン 2~3号
目印
市販の落とし込み目印
両端を道糸とハリスに結ぶ
ハリス
フロロ1~2号 1ヒロ
オモリ
ガン玉 シンタン5号~B
ハリ
落とし込み専用針 3~5号
エサ
カニ・イガイをメインにフジツボなど

目印はあってもなくてもかまわないが、低い堤防の多い東京湾でのヘチ釣りが、中京・関西へ伝わり足場の高い堤防に合った目印仕掛けが使われだしたことを考えれば、目印を使ったほうが釣りやすいということだろう。


ハリオモリ

落とし込み専用ハリ

上の写真の左上左下を見てもらうとわかるように落とし込み専用針は軸の部分に平打ちされたところがある。
ここにガン玉を潰しす(写真:右上)。ガン玉もハリが深く入るよう切込みが深い専用のものがある。写真上の針はイガイ専用針

写真左下はカニ専用針。平打ちの部分が上のハリと比べると下にある。写真右下は前打ち専用針。カニエサの尻から構えて腹(フンドシ)から甲羅に刺すのでフトコロが広くなってる。


専用タックル

落とし込み釣りは非常に人気のある釣りで各メーカーから専用タックルが発売されてる。

落とし込みプライヤ

落とし込み用ロッド”・“落とし込み用リール”・“落とし込み用ベルト”・“落とし込み用ライン”・“落とし込み用ハリ”・“落とし込み用ガン玉”・“落とし込み用エサ箱”…などなど、メーカーの力の入れ方を見れば、この釣りの人気をうかがうことが出来るだろう。

メーカーの戦略に完全に落としこまれてる(^_^;)?


釣り方

落とし込みのフィールド ケーソンの継ぎ目落とし込みのフィールド スリット落とし込みのフィールド 橋脚

ポイントはイガイなどの付着物が着いてる場所。

現場に着いたら、まずどこがいいかを見つけなければならない。延々と続く波止など特に変化も無く続いてるようにも思えるが、底に何かが沈んでいて漁礁の役目をしていたり、潮が当たってるところサラシが出来るところケーソンの切れ目など、潮の流れが複雑になってるところのほうが人気がある。

落とし方

イガイの付着層に潮が当たり払い出した時にイガイが落ちたり、そこに居座っているカニや虫類が流されることをチヌは分かってるのだろう。それを待ち構えているわけだ。

目印仕掛けを使って落とし、目印の動き変化でアタリを読むチヌの落とし込み釣り。ウネリや風は大敵だが、風も無く穏やかで海面も澄んでいたら、コレマタうれしくない。ある程度はざわついていないといい結果が出ないものだ。

釣り方だが、目印仕掛けの落とし込み釣りは、海面に3つほど印を浮かせ、ひとつ沈めばひとつ海面に置く。そのリズムが変わったときがアタリだ!目印が見難いからといって覗き込むと、人間の影がチヌに分かるらしく好ましくない。特に海面までの距離の無い場所はその辺りも気をつけよう。

チヌの落とし込み釣りは、目印の付いたヘチ釣りのようなもので、海面から中層あたりまでを探る釣り方。そんなに深く落としては行かない。アタリが無ければ横へ横へと移動しながら釣っていこう。アタリがあれば重点的にそのポイントを探り、無ければさっさと次へ行けばいい。ウキ釣りのように同じ場所で頑張る釣りじゃない。


アタリとアワセ

急に引き込まれたり、あるいは止まったり、“ブルブル”と震える時もあり、いろんなアタリがあるので何かを感じたら少し穂先で聞いてみる。その時にズシッっと重たくなればあとは竿を立ててチヌの引きを楽しめばいい。

チヌは遅アワセ”とかの言葉は、フカセ釣りとかウキ釣り・ダンゴ釣りで、最初にくわえた時に合わせれるものなら合わせたいのが心情。しかし道糸が多く出てる釣りだと合わせきれないから次の飲み込みまで待って合わすのだと…。落とし込み釣りの場合、短竿でラインもあまり出てないのだからアワセを入れても無駄が少ない。最初の“くわえ”で掛けにいって掛けれたら気分もいい!

気をつけなければならないのが、落とし込み釣りは道糸の出も少なく竿も短いということはアワセ切れを起こしやすい。特に関東流の“ヘチ釣り”は切れやすいだろう。

取り込みで気をつけることは、スリット状の波止や橋脚のようになってるところ、このような所で掛けるとチヌが中へ入ろうとした時にラインがイガイの付着層などに擦れて切れていしまうので、その様な釣り場では太目の仕掛けで強引に外へ出そう。


歩け歩け…

人の倍歩いて人の倍落とすこと…歩いては落としての繰り返し。

同じところに落としていてもダメ!食い気のあるチヌがいたら少々離れていても食ってくる。竿1~2本間隔で進んで行き、怪しいの思ったところは覚えておいて戻ってくればいいのです。

また、落とし込みの最盛期は夏場。体力勝負の釣りなので装備品は極力最小限の軽装で頑張って歩こう!


ズームロッド

落とし込みロッドや前打ちロッド、磯竿も渓流竿も、ズームロッドというものがある。当然私も、“落とし込み”、“前打ち”、“磯竿”、“渓流ロッド”と、ズームロッドを持ってるのだが…

このズームロッドという代物、長さを調整できるから便利だ!と、ここぞの時に伸ばしたり縮めたり2本持つところを1本で済んだりと、いいことはたくさんある。

しかし、このズーム機能を使わない。使わないというか使い切れてないというか、ほとんど長いまま使ってる。

人間の体って賢いもので長ければ長いなりに使いこなしてる。慣れれば重さも気にならない。だからいつも長いまま…時折、気が付いたかのように短くしてみると軽く感じるのは確かだ。しかし、釣ってる時に伸ばしたり縮めたりなんてそんなこといちいち出来ない。

渓流ロッドなんて海のロッドよりズームが重宝しそうなものなんだけど、茂みの下でも長いことなど気にならず、体が対応して適当にロッドを振っている。

ほとんど使うことの無いズーム機能。無いほうが軽くていいような気がする。