仕掛けの振り込み

釣り道具を揃えて釣り場へ付いても、仕掛けを海に投げ込まないと魚は釣れてはくれない。

釣りを表現する言葉で”糸を垂らす“と言われることがあるが、垂直ケーソンの真下に海面があればただ糸を垂らすだけでもいいだろうが、常に足元が釣れる状況とも限らないし、テトラや捨石などで海面が無ければ少し沖目に仕掛けを投げなければいけない場合もよくある。

真下で釣りが出来るとしても釣り座前方を扇型に探るのが波止釣りの基本。そのために5メートルほどの竿とラインを放り出すことに長けたスピニングリールをチョイスしているのだ。

投げ釣りだけでなく、ウキ釣りでも少しぐらいは沖目に投げれなければ釣りが広がらない。この行為をウキ釣りの場合”仕掛けを振り込む“と表現されている。投げ釣りのようにダイナミックなキャスティングではなく、狙いのポイントに仕掛けを送ってやるってこと。

覚えておきたい仕掛けの振り込み方はふたつ。”送り込み“と”タスキ振り“の振り込み方だけは覚えておこう!


送り込み

送り込みは釣り座の左右に人がいる時、後方の人通りが多い時など、周りに迷惑をかけない振り込み方のひとつ。

オーバースローのように距離を稼ぐことは出来ないが、この”送り込み“は他の方法より正確に仕掛けを送り込むことができる仕掛け投入方法の基本のようなものだろう。リールから離す指のタイミングがずれたとしても周りの人に迷惑をかけることのない、初心者には安心の”送り込み“だ。

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送り込みの方法

まず右手に竿を持ち左手にエサの付いたハリの上を持って、そして前方に出して構える。

この時、ラインはピーンと張っていなければいけないんだ。左手を離せば、弓矢が放たれたように飛んでいくような張りを竿のしなりを利用して作っておくことが重要なんだ!

力加減で飛ばすのではなくロッドのしなりと長さと反動で飛ばすんだ!

横から見たらこんな感じだ!
どうだい?いい感じに穂先にテンションがかかってるだろう?

このあとハリ上を持ってる左手を離すんだ。
するとどうなると思う?
だいたいは想像できるだろう。

左手を離すと針の付いたエサは穂先から繋がってる糸に引っ張られて前方へ飛び出していくんだ!

この動作が仕掛けをポイントに運ぶための振り込み方だ!力で振り回すのではなく竿の穂先の弾力で放り出していくんだ!

しかし、これで終わったわけではない。
このままだとダメなんだ!
もうひとつすることが残ってるんだ!

何がダメなのか分かるかい?
ウキが先行して飛んで行ってるだろう?
ウキは重いからこのような ”くの字の状態“ には必ずなるんだ。このままだと着水したときに仕掛けがウキの上のラインと絡む可能性があるんだ。

だが心配はいらないぜ!リールから放出されているラインにブレーキをかけてやればいのさ。右手の人差し指でフェザーリング(サミングのようなもの)すればいいのだが、そんなカッコ付けずに空いてる左手でスプールをガバッ!とおさえればいいんだ。

するとどうなった??
ウキの飛び出しにブレーキがかかりハリがウキを追い越しただろう?

前に行こうとしてるウキにブレーキがかかり、ウキを支点に振り子のようにハリが前に振るんだよ。

おぉー、いい感じじゃないか...
穂先から針先の線がちゃんとでき始めてる。

この1本の線が重要なんだ!

あとは、そのまま着水だ!
本来ならこの着水前のタイミングでブレーキをかけれれば距離を稼げる方法なのだか、初心者の君にはまだ無理だ!!

おっと、ごめんよ。言い過ぎたぜ!
でも最初はコツを掴むことが大切だから早くてもいいんだ。徐々にタイミングを遅らせて距離を稼ぐようになればいいんだ。そのタイミングも練習初日に分かるようになるさ。そんなに難しいものじゃないよ。

おっと、余計なことを話していたら着水してしまったぜ!

いい感じじゃないか!
真っ直ぐにキレイに伸びてる。

あとは仕掛けが立つのを待つだけだな…

こんなに上手くいったら、すぐに獲物が来るんじゃないか?

やっぱり…言ったとおりだぜ!
良型のチヌじゃないか?

ところでブレーキをかけずにウキが先行したまま着水したらどうなるか分かるかい?
次の絵がその時の仕掛けの状態だ!

どうだい?
くの字“に曲がった状態で着水すると、仕掛けとラインの距離が近く絡んでしまう可能性が大なんだ!

こんなんじゃ釣れる気がしないだろう?

送り込みの説明はこんなところだ。

投げ釣りにしろウキ釣りにしろ、スピニングリールでのライン放出はリールから出てるラインを引っ掛けてる人差し指を外すのだが、ロッドを前方に振りだす時のこのタイミングさえ分かれば当たり前の動作の中に入ってくる。

フェザーリング(ライン放出を制御)のタイミングだが、目標地点に近づいたらブレーキをかけウキの向こうにウキ下部分を持っていき、あとはフワァーッと着水さすようなイメージでロッドを操作すればいい。

あまり強引にブレーキをかけると柔らかいオキアミならハリから外れてしまう

着水時には着水点に波紋ができる。この波紋の数が仕掛けと合っていればエサ外れもおこっていないってこと。ウキは目視できるだろうから、その場所から沖側で”オモリの波紋“・”スイベルの波紋“・”エサの波紋“など、数と方向が合っていれば、うまく送り込めたってことで、数が足りないならエサ以外は外れないだろうからエサを疑ってみる。ハリだけだと軽すぎて釣り座から見えるような波紋は出来ない。手前にひとつだけポツーンっと波紋が出来れば、間違いなくエサが外れたってこと。ウキの付近でかたまって波紋ができたら絡んでることを疑ってみる。

おかしいと思えば仕掛けを回収しよう。
縺れてたりエサがない状態で頑張って流してても釣れないです。


タスキ振り

タスキ振り“は先ほどの”送り込み“より後ろに穂先を持っていって構える分、距離は稼げるだろう。

タスキ振り

方法は”送り込み“と同じで、構える位置・振りだす位置が変わるだけです。斜め上45度だから”タスキ振り“、真横だったら”横振り込み“とか”サイドスロー“とかになるわけだ。

いずれもウキと仕掛けの飛び方は変わらず、着水前のフェザーリング(カッコつけずに空いてる手でタッチだ!)は必要です。