チヌ(クロダイ)の前打ち釣り
落とし込み竿より長めの前打ち竿で、足元から捨石の切れ目やかけ上がりまで、広く攻めることが出来るのが前打ち釣法。
落ちていくカニを演出することも出来るし、捨石や沈みテトラの上を歩くカニを演出することも可能だ!
落とし込みが中層を釣るなら、前打ちは底も釣ることもが出来き幅が広い。まだケーソン際までチヌが来てない頃は前打ち釣りが威力を発揮する。
前打ちフィールド
港湾や工場地帯の海岸は、古い石積み波止、消波ブロックを積み上げたテトラ帯、そしてケーソン工法による堤防の3パターンが多いだろう。
石積み波止は比較的穏やかな港内に多くあるが、水深があれば深く緩やかな駆け上がりを形成し、チヌの寄り付きやすい形になっている。テトラ帯は間違いなくチヌの好む場所だし、ケーソンも基礎部分は石積みが約10mほど平積みされその沖は緩やかな駆け上がりとなっている。
駆け上がりは魚の通り道とされ、チヌもそれは同じ。前打ち釣りは、落とし込み釣りではカバーできないこれら駆け上がり部分攻めることの出来る釣り方だ。
また、落とし込み釣りで狙うケーソン側面のボタやその底のトコ部分も、前打ち釣りでも探ることが出来る落とし込み釣りの広域バージョンのようなもの。長めのズームロッドを持つかバカ糸を駆使すれば、駆け上がりの向こうの超前(ちょうまえ)を攻めることも可能だ。
仕掛け
- 竿(ロッド)
- 前打ち専用ロッド 4.2~5.3mズーム
- 宇崎日新 プラウディア 一文字クロダイ
- リール
- 落とし込み専用リール
- プロックス 落とし技K OTWK70D
- 道糸(ライン)
- ナイロン 2~3号
- ハリス
- フロロ1~2号 1ヒロ
道糸とはチチワで結ぶ - オモリ
- ガン玉 B~3B
- ハリ
- 前打ち専用針 3~5号
- エサ
- カニをメインにイガイなど
◎竿(ロッド)
4.2~5.3mズームをメインに、沖の超前なら6mクラスもある。
◎道糸(ライン)
蛍光カラーやゼブラカラーがある。見易さはオレンジがいい。
沈むライン(サスペンド)と浮くライン(フロート)があるが、フロートのほうが際の落とし込みも目印無しでラインで見れるのでいいだろう。ただし、前打ちの時は沈みは遅くなる。
◎オモリ
B~3Bが基準だが、底の感覚が難しければ最初は5Bからスタートしよう。
釣り方
テトラ帯や石畳など前方沖に仕掛けを投入。流れに逆らわず、右に流れてたら右手前に扇方を形成するように探っていく。
カニの着低後、少し歩かせては剥がし、上の絵の各番号1番から2→3→4と手前に引いてくる。手前まで来たら場所を横に移動して沖から同じ動作を繰り返す。左への流れなら上図と反対の動きだ。
カニの操作は、数歩だけ歩かす程度ですぐに剥がさないとテトラや石積に隠れてしまいハリ掛かりをおこしてしまうので注意しよう。
投入後のエサの落下は、ラインを張って落とし穂先に感じる重さが無くなれば、底に着いたと判断できる。最初は分かりにくいので、5Bなど重いガン玉で穂先に感じるようして練習にすればいい。
“着底してるかなぁ~”と思えば、少し穂先を上げてみて重たければカニが底にしがみついてるので、引き剥がして隣の石に渡してあげるようにフワリと持ち上げて落としていこう。
カニエサの場合は底にしがみ付くから分かりやすいけど、イガイなどは分かりにくいので最初の頃はカニエサだけで練習だ!
前打ちの場合、ほぼ90%以上、カニエサだけでいいだろう。
アタリとアワセ
アタリが出やすいのは最初の着低(扇型の各1番)前後、食い気のある時は少々離れていても食いに来る。
何かが食ってきたら手元に“ガサガサッ”っとくる。底からカニをはがす時にちょうど喰ってきて向こう合わせになる時も結構ある。これは“釣った”でなく“釣れちゃった”で、あまりうれしくない人がいるようだが、私はそれでもうれしい
カニエサの場合、モゾモゾとかじられっぱなしの時もあるが、その時はフグだ!カニをかじり捕られた跡ならフグだろうから期待せず次を探っていこう。
潰されたような跡ならチヌだろう。同じポイントを重点的に探っていこう。
イガイでのアタリは、ほぼチヌに間違いないらしいが前打ち釣りではイガイは使いにくいだろう。私は使ったことは無い。
イガイバリューとフジツボバリューは使ったことがあるが、やっぱりカニが分かりやすくていい。
脈釣り系は手元にアタリが直接くるので勝手にアワセを入れてしまう。ウキ釣りのように“遅アワセ”とか“早アワセ”とか調整できるようなものじゃない。もし、“遅アワセ”なんて言われたら私には無理だ!勝手に動いてしまう。“早アワセ”と言われても、それも無理だ!もうそんなに若くは無い。
テトラ帯での取り込みは足元に気をつけよう。チヌも自分も両方だろう。
ケーソンでの前打ち釣り
ケーソンの場合、イガイが着いていたりすると際までチヌが来てる可能性があるので、最初は際(ボタやヘチと呼ばれる)から探る。目印仕掛けと違い穂先で送り込むか軽い仕掛けなら糸フケで落としていく。
際(ボタ)でアタリが無ければ底(トコ)まで探り、その後に前打ち(ケーソン底からなる石積みと駆け上がり)へ移行すればいいだろう。
前打ちは足で釣る
前打ちは攻めの釣り。いかにチヌのいるところにエサを落としていけるかが勝負だ!
そのためには人の倍歩いて人の倍落とすこと 歩いては探っての繰り返し。
また、落とし込み釣りと前打ち釣りの最盛期は夏場。体力勝負の釣りなので装備品は極力最小限の軽装で頑張って歩こう!
バカ糸
バカ糸とはフライフィッシングのキャスティングのようにリールに巻かれているのラインを予め出しておくこと。駆け上がり付近を狙う時、またその沖を狙う時などバカ糸を使うと距離が稼げる
その場合は、着水後もラインを出し続けること。そうしないとサシエは手前に引っ張られて戻ってくる。