アタリとアワセ

魚がサシエサに食いついたらウキや道糸(ライン)や穂先に何らかの変化が出る。
それを手に感じることもある。

これをアタリと呼び、そのタイミングで魚の口にハリを掛けにいくのをアワセと呼ぶ。


アタリ

釣り方によっては道糸(ライン)や穂先にこのアタリを感じるが、波止のウキ釣りはウキでアタリを見る釣りだ。

ウキに出るアタリは、その時の魚の状態や魚の種類によって異なってくるもの。食い気の立ってる時は一気にウキが消し込むような鋭い当たりを経験するが、そうでない時はモゾモゾと一般的に渋いと言われるアタリが多くなる。

また、ウキ下設定を浅くした場合、サシエサをくわえて下層に戻ろうとするので深く消し込まれるが、ウキ下設定が深すぎた場合は、その反対にモゾモゾしたりウキが寝たりする時もある。

魚種によっても、青物のように深く消しこまないアタリ、沈み根や岩礁帯を住処とする根魚などは深く消し込むアタリ、カワハギに代表されるその場で止まって捕食する魚は大きくアタリは出ない。また、大きな魚ほどアタリが小さくなるようだ。

釣りを始めた最初の頃は、一気に消し込むようなアタリ以外を見分けるのは難しいだろうし、一気に消しこむから面白い。

また、ウキが沈むのは魚のアタリ以外にも沈み根に触った時でも沈むし、波の影響でも沈む。 流してる最中、同じポイントでウキがシモるなら沈み根などを疑ってみる。一定のリズムでおこるなら波の影響かもしてない。

釣りに行ってる以上、釣りたいという気持ちでいっぱいだから、最初の頃は沈み根に擦れて沈んでるウキを見てドキッとすることも良くある。

自信が無ければ聞き合わすか一度上げてみるのも良い。エサが付いていればアタリではないだろう。


アワセ

合わせるとは魚の口にハリを掛けること。初心者だと「あっ、何か引いてる?どうしよう???」と竿を持ったまま立ってる人もいるようだが、持ってる竿に重みを感じてるってことは、もうハリが掛かってるのであとは道糸を緩めることなくリールと竿で道糸を巻いて引き寄せてくればいい。

釣り針とは良く出来てるもので、魚がエサを食べてしまえばもちろんハリは掛かる。しかし、魚の中には一度口に含んだりあるいは噛んだりしてエサを確認してから食べるヤツがいる。違和感を感じて吐き出すこともある。口の中に含んで一度吐き出す時、ハリの大きさが魚の口のサイズと合っていれば、この吸って吐く動作の中でハリが口に掛かるように出来ている。でも吐き出されてしまう。それはハリのサイズが小さいなど合っていないのだと思うのだが、エサや食込みを重視すると小バリ選択になってしまう。先の目的が食わすことだからそれは仕方ないのだろう。

この完全に食べてくれない時にでもアワセを入れる事でハリを掛けるのが釣りだ。このテクニックが釣果に大きく影響する。

初心者のアワセの失敗のひとつ、スバリ(アワセの失敗)を引くこと。

よくあるのが糸フケが取れてないこと。糸フケとは余分なラインが出てることで、竿を起こしても糸フケ分が取れるだけでハリ先までその力が行かない。それでは「どりゃ~」と合わせてもしっかりとハリ掛りするはずもない。仕掛け投入時から常に糸フケだけは取っておこう。また風の影響などでどうしても糸フケが出てしまう場合もある。そんな場合はアワセの前に糸フケ分をリールでゆっくりと巻き取った後、タイミングを見計らって合わせればいい。

糸フケを取ってる最中にアタリが無くなったとしても、そんな食い気ならアワセを入れてたとしても掛かる可能性は低いだろう。


アワセの仕方

糸フケさえ取れていれば大きく合わさなくても竿を立てればハリは掛かる。チヌなどの口の堅い魚は強く合わせる必要もあるが、それは二度アワセで対応して一発目はハリに乗せることを優先するほうがいいだろう。最初から強く合わせるとハリス切れの心配もある。特に短竿のヘチ釣りなどは竿も道糸も短いため衝撃を吸収できずハリスや結び目に負担がかかる。

しっかりハリをかけたい気持ちもわかるが、まずハリに乗せること、その後でグイッと掛け直せばいい。

アワセ
カンヌキ

あと合わせる方向も頭に入れてたほうがいいだろう。ウキが左に消しこまれれば右へ合わす右なら左。そうすることですっぽ抜けを減らし、カンヌキに掛けやすくなる。カンヌキに掛かればバラす心配も無い。

ただし、サビキ釣りなどのアジ・イワシは口が弱く合わす力で口が千切れて落ちてしまうので、アワセなと入れずに竿のしなりだけで釣り上げよう。まぁ、小さな魚はアワセなど入れずとも釣れてくれる。


早アワセと遅アワセ

アワセで重要なのはタイミング。早アワセがいいか遅アワセがいいか魚の種類にもよるが釣り方やエサの種類でも異なってくる。

たとえばチヌのウキ釣りなどは、ウキが沈み込んで一呼吸置いてから合わせればいいと言われるが、沈み込む前にも前アタリといって“ジワジワ”とアタリは出てる。アタリの最初から計れば5秒ぐらいは見てるわけだ。もっと長くなる時もある。その間も合わせるタイミングはあるのだが、エサを吸い込んでは吐き出す…これを繰り返してから本アタリがでる。どうも吸い込んでは吐いてとエサを確認してるらしい。だからこのタイミングでは合わせてもハリ掛かりする確率が低いので最後まで待って確実に食ってからアワセを入れる。これはウキ釣りやダンゴ釣りはそれなりにラインが出てるから前アタリ程度でアワセを入れてもラインが多く出てる分、ハリ先にまで伝わるのが遅くなる。それならしっかりと食うまで待って合わせた方が失敗の数も減るってことだろう。

同じチヌでも落とし込み釣りなど、出てるラインが短い分、アワセは即ハリ先に伝わるので何か感じれば渓流釣りのような切れのいいアワセを即入れる吐き出す前に掛けてしまう戦法だ。この時に針先が唇に掛かればいいが歯に当たって蹴られると掛からない。うまく横に滑ればカンヌキと呼ばれるところにガッチリと掛かる。

チヌの場合は歯に特徴があり、幅の広い歯茎に4列ほどの歯が生えている。ここにまともにいくと掛からない。唇にかかるのは、吸い込む時に唇を尖らすようにするので掛かるようだ。皮一枚程度で掛かる時もよくある。

カワハギはエサに食いつくというよりは、おちょぼ口でエサを突付いてくる。他の釣りと違い待ってるとエサだけ食べられてしまうので先手必勝で掛けにいく。

磯のグレなども早合わせが基本のようだ。グレの場合の早合わせは、吐き出されるとかよりハリを口に掛けないと奥にかかるとハリスがギザギザの歯に切られてバラしてしまうからだ。スズキも歯で切られるタイプ。

これらは早アワセの部類だが、海の釣りは川の釣りほど早アワセの必要も無く基本的には遅アワセでいいだろう。中にはすぐに飲み込んでしまう魚もいて遅アワセだと後で困るが、早アワセでスバリを引くよりよりもいい。海の魚は川の魚よりエサを食べるのが下手らしくゆっくり食べさせてあげなければダメだとか…。タチウオなどは“いつまで…”と思うほどアワセを待ってる。そうしないとハリまで届いてないらしい。

コマセのウキ釣りの場合、スバリを引くことでせっかく寄せた魚を散らすこともあるので、無駄な動きを減らし確実に掛ける遅アワセがいいだろう。

釣りの面白さはアタリを感じてスパッと合わすあの瞬間!どうしても早アワセになってしまう気持ちもわかる。